個人事業主の方が建設業許可を目指す際、壁の一つとなるのが「常勤役員等(通称:経営業務の管理責任者、経管)」の要件です。
「ずっと一人でやってきたけど、自分の経験は認められるのか?」「何十枚も書類が必要なのか?」と不安になる方も多いはず。
愛知県のルールに基づいた、個人事業主のための経管要件と必要書類を整理します。
1. そもそも「常勤役員等(経管)」の要件とは?
建設業許可を取得するには、5年以上の経営実績があることが必須です。
- 原則として通算で5年(60ヶ月)以上の経験があること。
- 個人事業主の経験期間に確定申告をしていること。
- 実際に建設業の工事を請け負っていることが資料から証明できること。
💡「通算」でOK! 5年間ずっと連続している必要はありません。途中で廃業していた期間があっても、実績がある期間をパズルのように足し合わせて、合計で60ヶ月分になれば要件をクリアできます。
また、個人事業主 + 法人の役員経験という組み合わせも可能です。
2. 証明のために必要な資料は?
「5年やっています」という言葉だけでは審査は通りません。役所を納得させるために、以下の3つの資料を準備する必要があります。
① 確定申告書の控え(必要年数分)
下記の工事実績資料で提出する該当年度分の確定申告書について、控えを提出します。請負工事実績の間隔によっては5年分以上の確定申告書の準備が必要です。
万が一過去の確定申告書の控えが見当たらない場合でも、税務署への開示請求等で再発行してもらう方法があります。
② 所得証明書の原本(市区町村発行のもの、必要年数分)
確定申告書と同様に、下記工事実績資料で提出する該当年度分の所得証明書を提出します。
確定申告の内容と一致しているかを確認しておきましょう。
③ 工事の実績資料の写し(以下のいずれか、必要年数分)
その期間中、本当に「建設業」で稼いでいたことを証明する証拠です。工事内容、業種、請負実績の判断ができるものに限ります。
- 契約書の写し
- 注文書 + 対応する請書控えの写し
- 注文書、請書控え、請求書のいずれかの写し + 入金が明確にわかるもの(通帳又は預金取引明細表等の第三者機関発行のもの)の写し
3. 工事請負の確認方法について
愛知県では以下の方法で請負の確認を行います。
・確定申告書の内容から、年間を通じて建設業を営んでいたことが明らかである場合
確定申告書に不備がなく、建設業を営んでいたことが確定申告書から明確に把握できる場合は、「年1件」の工事実績の確認で足ります。
「年1件」は暦年(1月〜12月)の期間を指します。
- 2020年2月の請求書 + 入金履歴
- 2021年5月の請求書 + 入金履歴
- 2022年8月の請求書 + 入金履歴 …
このように月間隔は関係なく、単純に暦年1年につき1件の工事資料を5年分だけ提出すれば済みます。
・確定申告書の記載内容が不明確、もしくは不備がある場合
上記2-③の工事実績資料にて確認できた請負と次の請負との間隔が12ヶ月を超えない場合、その間を連続した請負期間とみなします。
その間隔月数を合計して60ヶ月を満たす件数だけ実績資料を提出します。
請負工事の間隔が12ヶ月を超えてしまっている場合は、その期間は実績があるとはみなされず、加算されません。
長期の工事で契約書又は注文書+請書控えによって工期が明確な場合は、その工事期間+間隔月数を加算して60ヶ月とすることができますが、ただしこの方法で申請する場合は、管轄の建設事務所への事前相談が必要です。
4. 注意!「月1件」が必要になる例外パターン
確定申告済みの期間 + 当年度の確定申告前の期間で合わせて60ヶ月分の工事実績として提出しようとする場合、確定申告済み期間内の最終実績時点での間隔月数を連続した期間として認定し、その後の未申告期間については月1件ずつの認定とされます。(毎月連続して請負っている必要はなく、月1件の実績提出を経験期間1ヶ月として加算します)
5. 常勤性の確認書類は必要?
法人の場合と違い、個人事業主が許可を取得する際には原則として常勤性の確認資料は必要ありません。
ただし、常勤役員等や補佐する者、営業所技術者等が事業主本人と異なる場合は、該当者の常勤性の確認資料が必要となります。
まとめ:工事実績書類の整理が許可取得には大事
個人事業主の方が建設業許可を取得する際に大変なのは、経験年数を証明すること(特に工事実績)です。日頃から請負った工事に関する書類(契約書、注文書や注文請書、請求書、入金履歴等)を整理しておくことが大切です。
また許可取得後には毎年事業年度終了届を提出する必要がありますが、そこでも工事実績を報告する義務があります。そこで苦労しないためにも工事資料を整理すると同時に、工事台帳をきちんと記載する習慣をつけることが肝要です。
しかし実際には、「忙しくて後回し」「今年は工事が少ないから大丈夫だろう」と思っているうちに、数年分の資料がバラバラになり、いざ事業年度終了届の提出や更新のタイミングで大きな負担になることが多いのが現実です。
日々の管理に少しでも不安がある場合は、早めに行政書士へ相談し、体制を整えておくことをおすすめします。

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