「決算が赤字になってしまったけれど、これをそのまま行政庁に報告しても大丈夫だろうか…」と不安に思う経営者様は少なくありません。
結論から申し上げますと、「赤字であること」自体が理由で建設業許可が取り消されることはありません。 しかし、報告書の書き方や「赤字の種類」によっては、その後の経営事項審査(経審)や許可の変更等に影響が出る場合があります。

1. そもそも赤字でも提出は法律上の義務

まず大前提として、建設業法では毎事業年度終了後4ヶ月以内に事業年度終了届を提出することが義務付けられています 。 赤字だからといって提出を遅らせたり、提出しなかったりすることの方がリスク(許可更新の拒否など)が圧倒的に大きくなります。損益計算書(様式第十六号)で「当期純損失」が計上されていても、それは「今の経営状態」の報告であり、欠格事由には当たりません

2. 審査で本当にチェックされているのは貸借対照表の純資産

行政庁が「継続して営業できる能力があるか」を判断する際、P/L(損益計算書)の赤字よりも重視するのは、貸借対照表(様式第十五号)の「純資産合計」の欄です。

  • 単年度の赤字(損益計算書上の損失): 今期の利益がマイナス。これだけでは問題になりません。
  • 債務超過(貸借対照表上の純資産がマイナス): 負債が資産を上回っている状態。

「一般」の建設業許可を更新する場合、現行のルールでは債務超過であっても更新自体は可能です。ただし、「新規許可」や「特定」建設業許可の場合は、純資産(自己資本)の額に制限があるため、赤字の蓄積が影響することがあります。

3. 「きれいな赤字」と「怪しい黒字」

実は、無理に黒字に見せかけようと粉飾した決算書の方が、建設業許可の実務ではリスクが高まります。

  • 完成工事原価報告書の不整合 : 利益を出すために「外注費」や「労務費」を削って計上すると、工事経歴書の実績と数字が合わなくなり、窓口で厳しい指摘を受ける可能性があります。
  • 経審への影響 : 経営事項審査(経審)を受ける場合、赤字であっても実態に即した会計処理を行い、適切に減価償却を行っている企業の方が資産や負債の評価が適正となり、結果として経営状況分析(Y点)で有利に働くケースがあります。

まとめ:赤字を隠すことより、別の手を打ちましょう

決算届が赤字であることは、あくまでもその年の結果に過ぎません。大切なのは、赤字であっても「工事経歴書と財務諸表に矛盾がない」こと、そして「法規に則って期限内に提出する」こと、です。
大幅な赤字により純資産がマイナスになりそうで、今後の特定許可への振替等に不安がある場合は、早めの対策(増資や役員借入金の整理など)が必要です。

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